カミングアウトによって「何かが変わる」ことを期待しているとみせかけて、本心では「何も変わらない」ことを望んでいた、っておはなしです。
こんばんは、はたのんです。このブログは、アスペルガー症候群はたのんママが、発達凸凹のある息子(自閉症スペクトラム)といっしょに成長する記録です。
当事者研究とは
「当事者研究」とは、アスペルガー症候群(発達障害)などの特性をもつ人が、医師や心理ではない、当事者としての経験から、考えをまとめることです。
【カミングアウトに何を期待しているの?】アスペルガー当事者研究
わたしが初めてのカミングアウトに何を期待していたか、いまはもう思い出せない。たぶん、カミングアウトすることで、誰かが、わたしの求める答えをくれると考えたのだと思う。
もっとも、自分にも分からない答えを、誰かが教えてくれるわけがなかったのだけれども。
「誰かが」と書いたけれど、この相手は「誰か」ではなく「母」だったと思う。
母ならば、わたしが求める答えを教えてくれると思った。教えてくれるに違いないと信じていた。
でも、当然ながら、母は答えることができなかった。
母と自分が違う生き物であると、あのとき、はっきり分かった。生まれてからいままで、ガッチリ繋がっていたはずの、わたしと母の見えざる糸が途切れた気がする。
さらに、何人かにカミングアウトしたあとで、やっと気づいた。この問題には答えが無いのだと。
わたしは「自分を理解してほしい」という想いでカミングアウトしたはずだ。一方、あのときのわたしは、どんな言葉をかけられたとしても、十分に理解してもらったと感じることは難しかったと思う。
振り返ると、発達障害のカミングアウトは狂気的で異常な行動だと感じる。質問に模範解答が用意されていないのに、良い結果を期待していた。
わたしの場合はカミングアウトの相手が家族(のちに夫となる彼氏含む)であったから、その後も交流は途切れていないが、これが友人などであったならば、間違いなく関係は途切れていたと思う。
カミングアウトすることによって、どういう状態になることを期待しているのか、理想の姿をイメージしておいたほうが良い。
それから、おおよそ理想通りの展開にはならないことも覚えておくと良い。
カミングアウトによって、まさかの言葉が返ってくる可能性も高い。
発達障害というキーワードを知っている人は確実に増えた。しかし、どのような特性があるか詳しく知っている人はあまりに少ない。自閉症とADHDの特徴を混同している人も多い。薬や療育で治る病気と認識している人もいれば、気にしすぎ、努力が足りないだけだと診断結果を信じない人もいる。
言われた相手も「混乱状態」だから仕方ない。そうやって心のなかで納得できる日が、いつかきて、最後には、カミングアウトする前と同じ状態に戻る。人間には得手不得手があるからな、と。
それがわたしにとって、周囲にとっての障害受容だった。
まさかの言葉を投げてきたとしても、悪意が無い場合、親など自分と関係の近い人であれば、発達障害が何であるか調べ始め、だんだん理解が深まってくる。
理解が深まったからといって、お互いの行動は変わらなかったけども、こちら(当事者)の気持ちは軽くなった。
秘密は辛いものだから。
カミングアウトする前と、何も変わらない。いまは、それが最も心地よい結末であったと感じる。
カミングアウトによって「何かが変わる」ことを期待しているとみせかけて、本心では「何も変わらない」ことを望んでいたのだ。きっと、そう。
ほな、また(・ω・) よしなにー。