【息子三歳を虐待しそうになった】改善のために取り組んだこと

わたしが子どもを虐待しそうになったときの体験や訪問相談の様子、改善するために心がけたこと、気持ちの変化についてのおはなしです。

白くて可愛い胡蝶蘭

画像提供:rumoさんによる写真ACからの写真

(・∀・) 胡蝶蘭の花言葉は「幸せが飛んでくる」


 息子が二歳のころ、虐待しそうになった時期がありました 


息子が二歳の頃、毎日イライラし続けている時期がありました。息子二歳が何かをしたからイライラするというのではなく、何もしていないのにイライラが止まらなくなり、頭のなかが真っ白になったのです。全力でマラソンしているときに起こる酸欠のような状態になり、呼吸が苦しくなりました。脳に空気が届かない気分。

ちょうどそのころ、虐待のニュースが頻繁に流れていました。ニュースを見るたびに、(わたしも、やがて虐待するようになるのではないか)と不安を感じていました。

自分で制御できないイライラの解決策を教えてもらうために、市町村で子育て支援窓口へ行きました。その日、話を聞いてくれた窓口の保育士さんに、「子どもと一緒に過ごすのがしんどい。どこかに預けたい。」そう話すと、あまり深刻に見えていない様子で、近くのベンチへ案内されました。「しばらく休憩して、ゆっくりしてから、おもちゃのある部屋で遊んでくださいね。」と、立ち去ってしまいました。

勇気を出して相談に来たのに、追い返されてしまったような気持ちになりました。わたしは、この街で、ひとりぼっちなんだと思いました。

わたしは大学時代から京都で暮らしています。長く住んではいますが、大学卒業と同時に京都を離れる人も多く、気軽に話せる友人は近くにいません。もちろん子育てを頼れる人もいません。実家は新幹線で移動する距離なので、母にヘルプを頼むこともできない。保育園の一時保育もいっぱいで事前登録すら利用できない。夫は帰宅が遅く休日出勤もあり、休みの日だからといって、子どもの面倒を見てほしいなんて言えない。子育てへの不安は日に日に増していました。


 市町村の子育て支援システム、訪問相談を利用 


市町村の子育て支援窓口に行ってからは、イライラがさらに加速しました。理由のないイライラに、ひとりぼっちだとの孤独で不安な気持ちが重なり、日常が上手にこなせないほど、不安定になりました。

いよいよ逃げ場がなくなり、(息子二歳を虐待しそうだ)との気持ちが大きくなったとき、市町村の子育て支援窓口ではなく、虐待相談の窓口に電話をかけました。さいきんの出来事や、虐待しそうなんだと話すと、「大丈夫、みんな同じように悩んでいますよ。改善する方法を、一緒に考えましょう。」と言われ、電話しながら泣いてしまいました。

その後、虐待相談の担当者さんと、市町村の子育て支援から臨床心理士さんが自宅訪問に来てくれました。「いまの状況は虐待ではないけども、だんだんとエスカレートする可能性があるから、改善する方法を考えましょう。」と、それから毎週、自宅を訪問してくれました。二回目からは、臨床心理士さんと保育士さんが来てくれました。臨床心理士さんがママと話し、保育士さんが息子二歳と遊ぶという役割分担。

最初の訪問で、「何を話せばいいのか、分からない。何に悩んでいるのかも、分からない。なんでイライラするのかも分からない。」と伝えると、「みんな、そうなんですよ。子育てのことじゃなくても良いので、話したいことを話してくださいね。」と。

何度も訪問をくり返し、自分が感じていること、悩んでいることを話すうちに、気持ちが楽になりました。息子二歳との暮らしが快適になるように、日常生活の改善ポイントを一緒に考えてくれました。ひとりぼっちじゃなかった。そう思い始めてからは、理由もなくイライラする日が減っていきました。

臨床心理士さんが訪問する頻度はだんだん少なくなり、半年ほどで終了。「困ったときには連絡してくださいね」その言葉が(わたしはひとりぼっちじゃない、困ったら助けてくれる人がいる)との支えになり、日常を取り戻しました。


 子育てママの求めるニーズを思い出す


臨床心理士さんとおはなしするうちに、昔の出来事を思い出しました。

大学生のころ、わたしは不登校ひきこもり支援に関わっていました。そのとき、東京大学で教授をしていた汐見先生の講演に参加し、虐待するお母さんに必要な言葉は“かわいそう”“やめなさい”じゃなくて、“がんばってるよ”“みんな、そうだよ”っていう共感の言葉だと聞きました。

虐待がダメなのは、お母さん自身も分かっている、でもやめられなくて悩んでいる。そういうお母さんを追いつめる言葉をかけても、状態は良くならない。「お母さん、がんばってるよ」って前を向く言葉をかけることで、改善する場合が多い。それが、お母さんたちのニーズなんだ、認めてほしいんだと。

虐待というのは、特殊な環境で起こる出来事だと感じていました。子どもが生まれるまでは、子どもが好きじゃないから虐待するんだとも思っていました。でも、そうじゃなくて、子どもは好きだけども、感情が制御できなくなる日がある。自分自身が子育てを始めて、誰にでも可能性のあるものなんだと、やっと気づきました。


 虐待しないために生活で取り入れたこと 


臨床心理士さんに相談し始めたのをきっかけに、わたしの生活には変化がありました。

一番大きな変化は、「子育て本」を読むようになったこと。わたしは読書が好きです。でも、子育てにまつわる本はあまり読んだことがありませんでした。同じようなことが書いてあって、つまらないと思い込んでいたからです。

でも、実際に読んでみると、著者によって、さまざまな考えかたがあり、子育てに正解は無いんだなと改めて気づきました。共感できるところは真似したら良いし、心に響かないところは流し読みしたら良い。いろんな考えの良いとこどりをしたら良いんだなあ。

それから、以前に比べて、家事や育児で文明の利器を活用するようになりました。それまで冷凍食品やレトルトはほとんど買わなかったけども、すぐに食べられる食材を買い置くようになりました。なんにもしたくない日は、何もしない。あたためて、お皿に乗せる。それでオッケー。美味しく食べられたらオッケー。

(・∀・) 掃除も毎日しない。気が向いたら、する。テレビやビデオも活用。

他に、イライラする出来事があったときには、ネット検索するようになった。同じような悩みをかかえている人がたくさんいるんだなって仲間意識が芽生えたり、我が家より大変なことになっている話題を見つけて、うちの問題は悩むに値しない小さなものだなと我にかえったり、いろいろ気づくことがある。読んでいるうちにイライラがおさまって、落ち着いて息子三歳と向き合えた。

夫に対しても、お願いしました。子育てが上手くできないと悩んでいるときには、いっしょに解決策を考えるのではなく、「みんな、そんなもんだよ」「がんばってるよ」と声をかけてほしいと。

あわせて“察してくれをやめる”と決めた。初めて臨床心理士さんに出会ったときに言われました。「怒っているようには見えない。冷静に考えていて、前向きに生きているように見える。」って。わたしは夫が何もしてくれないと思っていたけども、わたしがヘルプ要請を出せていなかったのかもしれない。いつか察してくれる、気づいてくれると期待していたのかも。

(・∀・) 察してくれ。は、やめる。手伝ってほしいときは、あれやって、これやってと項目を示して、ヘルプを要請する。


 コロナウィルスの影響で再び虐待しそうになった 


2020年4月、コロナウィルスの影響でパパの在宅勤務が始まるなど、いまはいつもと違う日常があります。

とある日、暇を持て余した息子三歳、ママをチラチラ見ながら、窓ガラスにおもちゃをぶつけて遊び始めたのです。いつもなら、息子三歳を抱きしめて、「おもちゃもガラスも痛いって言ってるよ」などと話すところ、その日は大きな声で怒ってしまいました。

怒ったあとで、落ち込みました。息子三歳、ママに怒られて不機嫌。お互いに良くない状態です。よくない、よくない。と思っているのに、似たような状況で怒る。それを繰り返すうちに、(あれ、これは、虐待しかけているのかも)という不安が再び大きくなりました。

地域の子育て支援窓口に電話をしました。担当の保健師さんが、子どもの対処や三歳の成長について教えてくれたので、少し気持ちが楽になりました。怒るイコール虐待ではない。悪いことをしたら怒るのは大事。いまは子どもたちも、いつもと違う日常に戸惑っているから、不安でママにかまってほしくて、悪いことをしてしまうときもある。怒るだけじゃなく、子どもの気持ち、主張も聞いてあげてねって。

保健師さんのアドバイスを元に(落ち着いて、がんばるぞ)と意気込んでいたら、以前お世話になった臨床心理士さんからも電話が入りました。少し話しただけですが、わざわざ電話をくれたことがとても嬉しくて、(わたしはひとりぼっちじゃない、がんばるぞ)というエネルギーになりました。

お風呂に入りながら、「きょうは怒っちゃって、ごめんね。」と話していると、息子三歳が言いました。「ママ、怒らなくていいんだよ。」と。その言葉は、わたしは息子三歳が癇癪で大暴れするときにかけた言葉です。(そうだよなあ。いつも息子三歳に“怒らず、困っている理由を言葉で話してね”と言っているのに自分ができていなかったなあ)と反省。

それから、「ママがあそんでくれないから、さびしくなって、ガラス、ボンボンしちゃった。ごめんなさい。」と話しました。「ガラスたたいたのは悪いこと。今度からは、言葉で伝えてね。ママも話を聞かずに怒っちゃって、ごめんね。お互いに悪いことした。」と握手で和解。

(・∀・) 我が家は「ごめんね」に納得したら握手で和解する仕組み。パパとママが結婚する前から、そうなってる。息子もいつのまにか真似してる。

わたしが息子三歳のママになるのは1回目。上手くてきなくても仕方ない。完璧なママになれるはずがない。完璧じゃない自分だって、息子三歳は愛してくれている。幸せな人生なのに、完璧ママを目指して、できないことばかり悩んでたら、もったいない。

(・∀・) 子育ては失敗、失敗、失敗の連続だ。開き直るしかない。ママだって人間だもの、不機嫌な日もある。

息子三歳含む家族について、一年前の出来事を思い出したら、楽しいことしか覚えていない。いまはしんどいけども、一年後には良いとこしか覚えていなくて、「いまが一番大変」って言うと思う。人生は、そういうもんだ。現在が一番しんどく感じるもんなのよ。“喉元過ぎれば熱さを忘れる”のである。

(・∀・) 必死に生きてるから、人生は楽しい。


 虐待しそうになったときは市町村の窓口へ電話相談してみてね 


コロナウィルスの影響で、日常が不安定になって、子どもに怒りっぽくなるお母さん、お父さんが多いとニュースで聞きました。どうして自分がイライラするのか分からない。虐待してしまいそう。そう悩んだときには、市町村の窓口へ電話してみてください。

普段なら、地域の子育てサークルや公園で出会う人々と話して解決する問題が、子どもと家にこもって生活するなかで解決できずにモヤモヤして、気持ちを圧迫しているかもしれません。困っていること、悩んでいることへの対応を一緒に考えてくれる人ができたら、気持ちが楽になるかも。

自分の子どもが大好きだから、悩んだり、怒ったりしてしまうのです。愛情が足りないのではありません。落ち込まないで。

|ω・) 疲れているんだよ。そういう日もある。お母さんだって人間だもの、機械みたいに毎日同じ調子ではいられないよ。不機嫌な日があっても良いじゃない。

上手くいかない日もあるけど、お互いがんばりましょう。いま悩んでいることも、笑い話になる日がくるはず。

大丈夫。あしたはきっと、上手くいく。穏やかな気持ちで、夜を迎えられる。そうでありたい。自分が虐待してしまうかもと悩んで、この記事を読んだ人にも、穏やかな気持ちで迎える平凡な夜がきてほしい。

ほな、また(・∀・)よしなにー。