【子どもには怪我をする権利がある】失敗だって価値ある経験

幼稚園の先生の言葉をきっかけに「子どもには怪我をする権利がある」と気づき、心配して子どもの行動を制限するのではなく、失敗も応援する子育てをしたいと考えたって、おはなしです。

気球とハートの雲

画像提供:ぴぴふぉとさんによる写真ACからの写真


 おかしなこけかたををする子どもが増えた理由


わたしが、とある幼稚園の入園説明会に参加したときです。幼稚園の指導方針を話しているときに、印象的な言葉に出会いました。

「子どもには怪我をする権利がある」

わたしは、子どもに怪我をさせないのが親の役目だと思っていたので、驚きました。園長先生は「さいきんの子どもは、おかしなこけかたをする」と言いました。おかしなこけかたというのは、口や歯など、顔を怪我する現象。本来であれば、顔からコケるときには手を出すから、そういうこけかたはしないはずなのに、自分からパッと手を出せる子どもが少なくなったから顔面のケガをするのだそう。

「各家庭の子どもが少なくなったから、ひとりひとりにしっかり目を配るようになりました。怪我をさせないように、大事に育てている。でも、子どものうちに小さな怪我をする体験をしていないと“痛い”って感覚が育たないので、予想していない大きな怪我につながってしまいます。」

わたしは納得しました。怪我をさせない、安全なところで遊ばせる、それが子育てに最も大事なことではなかったんだと気づきました。


 緊張のはさみデビュー


子どもはママの真似が大好きです。ママしか使わないものに興味津々。「つかいたい」と大騒ぎ。子どもが使いたがったとて、はさみを使わせるなんて、絶対にダメ。そう決めていました。でも、幼稚園の先生のおはなしを聞いて、考えに変化がありました。

「使ってみる?」と訊くと、「うん、つかう」と大喜びでハサミを持ち、チョキチョキと切る真似を始めました。はじめのうちは紙を切ることができなかったのですが、毎日のように「チョキチョキだして」と練習していると、やがて自分ひとりで紙を切れるようになりました。しばらくのあいだ、ハサミを使う息子をジーっと観察していたのですが、さいきんはチラチラ確認する程度です。

(・∀・) 二歳後半のいまでは、大きな紙を細く切れるようになりました。うどん屋さんごっこがお気に入り。宅配の広告を切って、お料理屋さんごっこをするのも好き。

ある日、自分の手をハサミで切ろうとしていました。以前だったら、「やめなさい」とハサミを回収する状況ですが、「こどもには怪我をする権利がある」という言葉にならって、口出しせずに見ていました。すると、途中で手からハサミをはなしました。「ママ、ハサミで手をはさむといたい」と納得した様子。ハサミで手を挟んだらダメだということに、自分で気づいたようです。


 子どもには怪我をする権利がある


「子どもには怪我をする権利がある」というのは、ドイツにあるバイエルン州の幼児教育カリキュラムに書かれている言葉だそうです。ドイツといえば、シュタイナー教育が始まった国。

シュタイナーの教育では、0歳から7歳までの期間は身体を育てる時期であると考えられています。7歳からは心を育てる時期、14歳からは頭を育てる時期。やがて自立すると。

二歳息子にとって、いま大事なのは、目で見て、耳で聴いて、手でさわって、自ら経験すること。自分の身体って、こういうふうに動くんだ。この道具を使うと、こんなことができるんだ。と、人から教えられるだけじゃない、自分で体験した「本物」に気づくこと。

怪我をさせないように、親が子どもの行動を制限しすぎると、「知りたい、学びたい」って知的好奇心をもつことを諦めてしまう結果に繋がりかねません。親の望むように子どもを育てるのではなく、子どもが育ちたいように親がサポートするのが、理想の子育てなんだなと、わたしは考えています。自分らしさって、大人になってから見つけることが難しいもん。子どものあいだに、どんどん自分らしさを見つけてほしい。

失敗は成功のもと。というように、失敗だって価値ある経験です。いっぱい小さな失敗を経験して、成功体験を積み重ね、自分らしく成長してください。傷は子どもの勲章だ。

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