アスペルガー症候群(発達障害)の当事者が感じた、社会性の向上によって才能が失われる、エネルギーが再分配される体験についてのおはなしです。
こんばんは、はたのんです。このブログは、不登校訪問専門員とひきこもり支援相談士の資格をもつ、アスペルガー症候群当事者はたのんママが、発達凸凹のある息子といっしょに成長する記録です。
画像提供:写真AC tandy-hanさん
当事者研究とは
「当事者研究」とは、アスペルガー症候群(発達障害)などの特性をもつ人が、医師や心理ではない、当事者としての経験から、考えをまとめることです。
きょうのテーマは【社会性が向上すると才能は失われる】について。
【社会性が向上すると才能は失われる】アスペルガーの当事者研究
わたしは高校時代、不登校ひきこもり状態にあった。そうなった理由のひとつは、社会性がなかったからだと思う。アスペルガー症候群(発達障害)の特性をもっていたからともいえる。
ほとんど人に興味をもたないまま高校生になり、なぜか、その時期、高校生になったときに、まわりの人間に興味をもつようになった。人の気持ちを考えるようになり、まわりに合わせようと頑張った結果、自分が保てなくなった。
そこから、社会復帰して、通信制高校に転校したときには、これまた、なぜか、人と普通に話せるようになった。それまで、15年以上のあいだ、まともに人と話せないまま育ったわたしが、別人のように、人と話せるようになった。
社会性が向上したのは、良いことだ。だがしかし、同時に問題が発生した。わたしが、それまでもっていた「才能」と呼べる特異な性質が失われ始めたのだ。それまで当たり前にできたことが、できなくなった。脳がフル稼働しなくなってしまったのである。なんだか、いつも、ぼんやりしている。
それから、10年以上が経過した。当時を振り返って、気づいた。わたしは、あのとき、あの瞬間に、自分がもっている力の振り分けかたを変えたのではないか。と。
人間がもっている力は100である。その100をどんな力に振りわけるのか、それぞれの個人の気持ち次第なのだと思う。いろいろな力をバランスよく欲する人もいれば、発明とか、ひとつの分野にドンと振り分ける人もいる。わたしは後者だった。
わたしは不登校ひきこもり状態になったとき、わたしの脳は大きな決断をしだのだ。ひとつの力だけでは生きていけない。もっと、バランスよく振り分けないと。そして、それまで一箇所に費やしていたエネルギーを、社会性とか、人と仲良くする力に振り分けた。だから、わたしは社会性の向上と引き換えに、他の力が低下した。それまでできたことができなくなった。その結果、脳がフル稼働しなくなったのではないか。
人間の力には限界がある。あれも、これも、全部の力を手に入れるなんて、きっとできない。
わたしは社会性に興味がない。だから、ひとつの力を伸ばしたい。そういう人が、発明家とか、研究者になるのかもしれない。アスペルガー症候群(発達障害)の特性をもっている人が向いている職業と、一致しているように思う。
あの出来事を振り返ると、4歳息子が頑張っている集団療育、コミュニケーションの練習というのは、危険をはらんでいるように思う。本来、伸ばせたはずの力、特異な性質の芽が、社会性の向上のために費やされてしまう。
どちらが幸せなのだろう。ひとなみの社会性を身につけるのと、特異な才能を伸ばして開花させるのと。
ほな、また(・ω・) よしなにー。