アンソロジーのエッセイ本「母のキャラメル」に収録されたエッセイについての読書感想文です。とんでもない夢だと思っていた願いが叶う瞬間の疾走感あふれる気持ちが綴られた「夢二つ」について。
こんばんは、はたのんです。このブログは、アスペルガー症候群はたのんママが、発達凸凹のある息子(自閉症スペクトラム)といっしょに成長する記録です。
画像提供:写真AC ぴあむんさん
【俺のメシはどうなってんだ】読書感想文「夢二つ」山田美与子(主婦)
きょうは「母のキャラメル」というエッセイ集についての読書感想文です。
この本は2001年に新聞や雑誌などで発表されたエッセイをプロアマ問わず募集、厳選したアンソロジーです。アンソロジーとは複数の作家による短編集のことです。
(・ω・) プロの作家だけじゃなく、一般のかたの作品もあるよ
わたしが印象に残ったエッセイは「夢二つ」というおはなし。こちらは主婦の山田美与子さんが書いた物語です。
オーケストラと一緒に歌うという夢をもっていた山田さんの夢が叶う瞬間について、疾走感あふれる文章で描かれています。
思えばこの一年、私の背中には夫の「俺のメシは、どうなってんだ」という台詞がペタリとはりついていた。「俺のメシ」を背中にはりつけたまま私は、楽譜をオートバイのかごにほうり込み、きっと前方をむいたまま、「温めれば食べられるようになっているぅ」と返す。その時私は、「この、飢餓恐怖症め」とひどい言葉をのみこんでいるのである。
引用 「母のキャラメル: ’01年版ベスト・エッセイ集」日本エッセイスト クラブ 文藝春秋
(・ω・) すごない?
「俺のメシは、どうなってんだ」で夫婦仲が良くないのかなとヒヤリとさせ、次の「温めれば食べられるようになっているぅ」で、ほんまはめちゃくちゃ仲良いやんと安堵させてくるのです。
『いるぅ』のところも、言葉選びがおもしろく感じました。わたしは本をよく読むのですが、小文字の『ぅ』が文末に登場する作品に出会うのは珍しいように思います。新鮮でおもしろく感じました。
『「俺のメシ」を背中にはりつけたまま』とか『飢餓恐怖症』とか、このあたりの表現も好きです。
このエッセイのタイトルは「夢二つ」
一つめの夢はオーケストラと一緒に歌うこと、それから二つめの夢は自分の書いた文章を活字にしてみたいという願い。とんでもない夢だと思っていた願いが叶う瞬間の疾走感あふれる気持ちが綴られていました。
「俺のメシ」氏や息子、娘、妹も。家族みんなが山田さんの夢が叶う瞬間を客席から見ている、最高だという喜びが伝わってきました。
独身時代の知り合いに「喧嘩ばかりしてる夫婦のほうが、意外と離婚せずに上手くやっている」という人がいました。夫婦仲が悪くなると喧嘩すらしない、と。
この物語を最後まで読んでいると、「俺のメシはどうなってんだ」は夫婦の仲が良いからこそ口にできる言葉なんだなあ、と気づきました。
山田美与子さんによる「夢二つ」は、大人になっても夢をもって良いんだな、こんな愉快な生き方がしたいな、と思わせてくれるエッセイです。
この本の表題作である「母のキャラメル」も印象に残るエッセイだったので、ちょいと今の気持ちを残しておきたいのですが、きょうは息切れしているので、いったん終わります。
気持ちの旬が終わらないうちに、また読書感想文を書こうと思います。
ほな、また(・ω・) よしなにー。
↓ スポンサーリンク