障害児育児の本には「子どもの成長のために」という話題がたくさんあるけれども、「子どもを加害者にしないために」という視点も大事だと思う、っておはなしです。
こんばんは、はたのんです。このブログは、アスペルガー症候群はたのんママが、発達凸凹のある息子(自閉症スペクトラム)といっしょに成長する記録です。
画像提供:写真AC かずたか写真館さん
【子どもを加害者にしてはいけない】障害児育児、他害、療育
息子が通っていた幼稚園には、まわりの人を叩く子どもがいた。
幼稚園の行事で息子が叩かれている場面を見ることもあった。それに反撃して息子が叩いてしまうこともあった。
息子に「叩いたらダメ」と注意すると、「あの子は何回も叩いてくるのに、なんでぼくが叩いたら怒られるの!」と泣きながら怒っていた。
どんな理由があっても叩いたらダメなんだと言い聞かせ、先生と相談を繰り返すうちに息子は叩き返すのをやめたようだった。
あの子は大きな音がする行事では耳をふさぎ座りこんでいたので、感覚過敏がある、つまり息子と同じく療育に通っているお子さんなんだと思っていた。
だから、お互いさまという気持ちがあった。
先生から叩かれて泣き止まないと電話があり迎えに行ったときに、目が行き届いていなかったと先生から謝られた。お互いさまだから、相手のお母さんも子どもの他害に困っていると思うし、と話をした。
時間が経過し、先生から「加配の先生を譲ってほしい」と話があった。あの子に補助をつけたいという相談だった。
人手が足りないからだと思ったら、あの子のお母さんが何も気づいていないから、加配の申請ができないのだとの話だった。オブラートに包んであったが、療育で使われる言葉が多かったので、そういうことなのだと思った。
あの子の保護者とのトラブルを避けるために、すでに子どもの発達障害を認識して加配の先生をつけている保護者に声を掛けているようだった。
確かにあの子がクラスのなかで邪魔者扱いされ始めているのは知っていた。息子はずいぶん落ち着いていたから、譲っても良いのかなと考えたが、迷いもあった。すぐに返事をすることができず、療育の先生と相談した。
子どもを加害者にしてはいけない。それは、息子を取り巻く支援者の願いのひとつだった。
悩んだ結果「できない」と伝えた。療育の先生やお医者さんと相談した結果、慣れ親しんだ加配の先生がいるから幼稚園で穏やかに過ごせているのだと思うこと。加配の先生がいなくなると、今度は息子が加害者になるかもしれない。
あの子がクラスのなかで邪魔者扱いされ始めているのは心苦しい。力になりたいとは思うけれども、わたしたち家族は息子のために加配の申請をして、抽選で当選して、やっと幼稚園に入園できた。それを他の子どものために譲ることはできない。それから、
幼稚園があの子のために補助が必要と思うなら、あの子の保護者と相談してほしいと。
わたしが「申し訳ないです」と告げると、「他の保護者からも同じような回答がありましたし、自分もそう思っていますので気にしないでください。入園前から準備をして、療育にも通って、せっかく穏やかに生活できているのに、他の子どものために補助の先生を譲るのを納得できない気持ちは理解できます」と口にした。
療育に通ったり、幼稚園や保育園で加配をつけるのは、子どもの成長のためだけではなく、子どもを加害者にしないためでもあるのだと思う。
子どもを加害者にしない。そういう考え方を教えてくれた療育の先生や、お医者さんに感謝している。
療育で子どもがすごく成長したかどうか質問されると回答に困る。でも、親として障害のある子どもを育てるなかでの気づきはたくさんあった。
障害児育児の本には「子どもの成長のために」という話題がたくさんあるけれども、「子どもを加害者にしないために」という視点も大事だと思う。
「子どもを加害者にしない」というのは、長く続く子育てのなかで大事なキーワードだと感じている。
ほな、また(・ω・) よしなにー。